バケバケ




「シイー!コーヒー牛乳…」


「わかったからさっさと髪乾かしてこい。水滴が飛ぶ。」


「俺自然乾燥派だから。」


酒が入ったせいかいつにも増してやかましい。


燕も騒音に目を覚ましたようだ。


全員揃ったところで脱衣場を出た。


洋子たちの姿は見えない。


まだ入浴中か。


バスタオルを返却口に入れ、カウンターでラジオを聞いていた松本さんにコーヒー牛乳を頼んだ。


松本さんはラジオを止め、カウンターの奥に消えた。


「コーヒー牛乳!」


「落ち着け灰音。」


松本さんがコーヒー牛乳を取りに行っている間も灰音が静かになることはない。


エレジー、早くこいつを引き取りに来てくれ。


しばらくして、カウンターから人が出てきた。


しかし、松本さんじゃない。


浅黒い肌に金髪芝生頭。


白いタンクトップに肩にハートモチーフの刺青。


忘れてた…


そうだ。


この銭湯にはこの人がいたんだった……




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