バケバケ



「ヒノキさん…」


「……シイ?…本来にシイなの?」


ヒノキさんは両手で口を抑え、カウンターを普通に乗り越えると、内股でこっちに小走りしてきた。


俺の足が自然に後退りするのがわかる。


「シイ!」


「うわぁ!」


ヒノキさんが俺に抱きついてきた。


身長は軽く180を越え、筋肉質のヒノキさんは当然ながら重い。


「ヒ、ヒノキさん。…重いです。」


「まぁっ!失礼しちゃうわ、レディーに向かって!」


「あなたはレディーじゃないでしょう!?」


「あら?見ないうちにいい身体になったじゃない。」


ヒノキさんが俺の背中に指を這わせる。


「俺の話聞いてますか?」


「あたし…シイになら抱かれてもいいわ!!」


「遠慮しておきます。」


俺はまとわりついているヒノキさんを無理矢理はがした。


「やーだー!もう少しぃー」


「止めてください。俺にそういう趣味はないんで。…なにも俺じゃなくても…ほら、あいつとか。」




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