バケバケ


「この人がさっき話したヒノキ姐さんよ。」


ギンが説明してくれた。


この人が…なんか大分想像と違うなぁ。


「さっき松本から聞いちゃったわよー、あなたシイの持ち主なんですってね。」


ヒノキさんが優しく微笑む。


顔は男の人だけど、女の人みたいに笑う。


きれいな人だ。


「はじめまして。坂本洋子です。」


「洋子ちゃんね、よろしく。」


なんだかわかる気がした。


この人ならあのお風呂を作りそうだ。






「ほらよ、コーヒー牛乳だよ。」


松本さんがカウンターから身をのりだし、その隣のベンチで仰向けに転がっている灰音にビンを投げ渡した。


「サンキュ!」


体を半分起こして受け取る灰音。


「あれ?」


灰音の隣にいるの…


「千秋と燕さんだ。」


あの二人がいるってことはやっぱり神隠しの件はバケバケ絡みなんじゃ…


「あの、ヒノキさん。」


「なぁに?」


「この辺りで最近起きた神隠しについて何か知ってますか?」




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