バケバケ
「さて、情報も入手したしそろそろ帰るか。」
シイが大きく伸びをした。
「そうだね、おばあちゃんに心配かけちゃうし。」
すぐ帰るって言ったのに夕方になってしまった。
「えー、もう行っちゃうの?」
ヒノキさんは淋しそうに人差し指をくわえ、熱い眼差しをシイに向ける。
「今日はあたしと一夜を共にするお約束でしょ?」
「…誤解を招くようなこと言わないでください。」
「もぉ、照れ屋さん!!」
ヒノキさんがシイを突き飛ばす。
シイはあまりの勢いに倒れそうになりながらもかろうじて持ちこたえた。
「…早く帰ろう洋子。」
「わかったよ。」
私たちはみんなに手を振りながら風呂屋を出た。
「…また遊んでね。」
去り際にギンが小さな声で言った。
ギン、かわいいなぁ。
妹が出来たみたいだ。
そして私とシイはおばあちゃんの家に向かった。
「おばあちゃん、心配してるかな。」
「かもな。…ごめん、ギンがわがまま言って。」