バケバケ
「いいよ、楽しかったし。」
ふと、あの時のギンの顔が頭をよぎった。
―……シイが好きなの。
ギンははっきりとそう言った。
本当にシイのことが好きなんだ。
だから私も本気で答えた。
―友達
今私の隣にいるシイは友達。
「…友達。」
思わず声に出してしまった。
「友達?…あぁ、ギンの。」
「違うよ。ギンは友達だけど、今のはそうじゃなくて…」
「なんだよ。」
「………」
私とシイは友達だよね。
そう言うだけなのに。
「…なんで黙るんだよ。」
「……わかんない。」
わかんないよ。
シイは友達なのに。
もし私がそうやってシイに聞いたとして、シイが頷いたら?
怖い。
どうしてかわからないけどすごく怖い。
「………」
「………」
気まずい沈黙だけが流れる。
気がついた時にはもう、おばあちゃん家の前だった。