バケバケ
「ただいまー」
私たちが中に入ると、おばあちゃんは小走りで出迎えた。
「お帰りなさい。遅かったから心配したわ。」
「ごめんなさい、ちょっと道に迷っちゃって。」
「そう、よかったわ。無事で。夕飯出来てるわよ。」
「俺は食べれないな、夕飯。」
シイがポツリと呟く。
ぬれせんべい同様、シイの姿はおばあちゃんには見えていないので一緒に夕飯は無理だ。
「後で持ってってあげるから。」
「わかった、じゃあ俺ちょっと休んでくるよ。」
そう言ってシイはどこかに行ってしまった。
夕飯の後、お風呂を勧められたけど、さっき入ったからと言って断った。
もう寝たいと言うと、空き部屋に布団が用意してあるらしいので部屋に向かった。
とにかく眠かった。
今日は疲れた。
―ガチャ
部屋の戸を開ける。
「!?」
そこには布団がで本格的に寝ているシイの姿があった。
「ちょっと、シイ。」
私はシイの体を揺すった。
「うー…」
眉間にしわを寄せながらシイがゆっくり目を開いた。