バケバケ
でも、気付かないフリをしていたんだろう。
気付かないフリをしていたことも気が付かなかった。
それでまた苦しくなる。
繰り返す。
だけどまた、蓋をしよう。
好きになったら辛いから。
いつか洋子が俺じゃない誰かを好きになる時、辛さで押し潰されないように。
…眠れない。
洋子…本当に寝てるのか?
「洋子?」
小声で問いかけてみる。
返事はない。
やっぱり洋子は規則正しく寝息をたてている。
…眠れないのは俺だけか。
…あれ?
なんかさっきより音が近づいてないか?
…それに、背中らへんが温かい。
俺は首だけでゆっくり後ろを見てみた。
「!!!」
声にならない叫びが自分の中に反響する。
俺のすぐ目の前に洋子の顔があった。
俺はすぐさま首を戻した。
…ええ!?
なんで!?
なんでこいつ俺の布団に侵入してるんだ。