バケバケ
夜の小道
そこをたった一人で少女が歩く。
誰もが寝静まり、少女の他に人はいない。
少女の後ろ姿を、俺達は木の影に隠れて見ていた。
「……うまくいくだろうか。…」
燕は不安げに少女を見ている。
「大丈夫だ。」
やがて、少女のもとに、二つの人影が現れる。
「………シイ!」
「あぁ。」
緊張が走る。
犯人は二人組だったのか。
二人の内一人が少女に手を伸ばす。
そして少女の手首を掴んだ。
「今だ!!」
少女は振り返る。
そして振り返った勢いで足を振り上げ、犯人の一人に回し蹴りを喰らわす。
「うっ…」
犯人の一人は鳩尾を押さえフラフラと後退した。
「行くぞ!」
俺と燕は木の陰から飛び出し、俺はフラつく犯人を取り押さえ、燕がもう一人の犯人を捕まえた。
「きゃあ!」
もう一人は女のようだ。
「痛ぇよ、放せ!」