バケバケ
俺に捕まった犯人が喚く。
「誰が離すか………ん?」
暗くて気がつかなかったが…
こいつ……
ボサッとしたこの頭…
それにもう一人の女は金髪だ…
「またお前らか…」
犯人と思われた二人組はよく知った人物だった。
…灰音とエレジーだ。
今日はこんなのばっかだな。
「紛らわしいな、灰音何してたんだ。」
「パトロールだよ。」
灰音は俺の手を振り払った。
「バケバケが女子高生狙ってるっていうから見回ってたんだよ、そしたらこの子が一人でうろうろしてたからさ…」
灰音が少女を指差す。
「誰だよこの蹴り入れた女の子。」
「誰って…」
すると少女は灰音の前に歩みよった。
「女の子じゃないよ!」
少女がカツラを取る。
「…ち、千秋!?」
灰音が目を丸くする。
少女の正体は千秋だ。
そう、これこそが俺が考えた洋子は絶対安全な作戦だ。