バケバケ
7.ごめんね、ありがとう。
7.ごめんね、ありがとう。
「ねぇ、どこに行くの?」
私は今、昼間行ったあの竹やぶの中にいる。
今から少し前のこと、シイと燕さんと一緒に私は木の陰に隠れていた。
千秋を囮に神隠しの犯人を捕まえるためだ。
作戦を開始し、少したった頃、誰かが私の肩を叩いた。
私は首だけで後ろを見た。
肩を叩いたのはギンだった。
シイと燕さんはギンに気がついていない。
私が二人に知らせようとすると、ギンが止めた。
「どうしたの?」
私は小声でギンに聞いた。
「……。」
ギンは何も言わずに手招きをした。
…ついて来てってこと?
私はギンについて行った。
ギンは私の手を引き走りだし、そして私たちはあの竹やぶの中に入った。
「あの風呂屋さんに行くの?」
「……。」
ギンは黙って首を振った。
私たちは暗い竹やぶの中を走り抜ける。
どんどん深くまで。
昼間の時はもう風呂屋の前に出てた。
こんな深くまで行かなかった。