バケバケ
嫌だ…聞きたくない。
―シイがお前を持ち主にしたのも、お前を認めたからじゃないぞ。―
嫌だ…
―お前のその無駄に大きな力を利用しただけだ。―
「止めて!!」
私の声がこだまする。
「止めない。」
「!!」
声がすぐそばで聞こえた。
顔をあげると、目の前に黒いワンピースに身を包んだ女の人が立っていた。
「……トキ…」
「ほぅ、私を覚えていたか。」
トキは私の頬に自分の手を添えた。
「お前は私によく似ているな、洋子。」
「!…やだ、触らないで!」
「この箱の中にいながらまだ声が出せるとは…やはり昭仁の孫だ。」
「……。」
逃げたいのに…
この手を振り払いたいのに…
鎖が私の邪魔をする。
「洋子、お前がシイに対して抱いている感情は決して報われない。」
「!」
「シイの契約の話…聞きたいか?」
…契約
あの黒い炎の…?