バケバケ
ギンの姿がどんどん薄れていく。
「シイには…洋子がいたから。」
「…?」
「シイも私と同じで、持ち主探してるんだと思ってたよ。けど…洋子がいた。」
「じゃあギンも今から探そう、絶対見つかるから…」
「もう、間に合わない。」
「そんなこと…」
「なんでだろうね、持ち主が見つかったシイが羨ましいんじゃなくて…洋子が羨ましかった。」
ギンは深く息を吐いた。
「私も…シイの隣にいたかった。」
ギンの目は俺をしっかりと捉えていた。
「私…シイが好きだよ。」
もうギンが触れている感触もなくなっていた。
「俺も…ギンが好きだよ!本当の妹みたいに思ってる!!」
ギンが俺から離れる。
「……ばか。」
俺はギンに手を伸ばした。
消えてしまう…
ギンが…
「最後にシイに会えてよかった。」
その言葉がギンの最後の言葉だった。
ギンの姿はもう見えない。