バケバケ




ギンの姿がどんどん薄れていく。


「シイには…洋子がいたから。」


「…?」


「シイも私と同じで、持ち主探してるんだと思ってたよ。けど…洋子がいた。」


「じゃあギンも今から探そう、絶対見つかるから…」


「もう、間に合わない。」


「そんなこと…」


「なんでだろうね、持ち主が見つかったシイが羨ましいんじゃなくて…洋子が羨ましかった。」


ギンは深く息を吐いた。


「私も…シイの隣にいたかった。」


ギンの目は俺をしっかりと捉えていた。






「私…シイが好きだよ。」






もうギンが触れている感触もなくなっていた。


「俺も…ギンが好きだよ!本当の妹みたいに思ってる!!」


ギンが俺から離れる。


「……ばか。」






俺はギンに手を伸ばした。


消えてしまう…


ギンが…






「最後にシイに会えてよかった。」





その言葉がギンの最後の言葉だった。


ギンの姿はもう見えない。



< 400 / 469 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop