バケバケ
「ハイネー!」
振り絞るようなエレジーの声…
俺はようやく何が起きたのかを悟った。
「ハイネ…ハイネ!」
エレジーが灰音を抱いて泣き叫ぶ。
そんな二人を少し離れたところからトキが見ていた。
トキの手は真っ赤に染まり、顔には血の跡があった。
「シイ…早かったな。ギンは消えたのか?」
そう言ってトキは笑う。
「…トキ…お前!」
こいつが…
ギンを…灰音を…
「そう睨むな。むしろ私は感謝されるべきだが…?」
「…何言ってるんだ。」
「灰音は…シイ、お前の敵なのだから。…そうだろう?中森の小僧。」
トキが千秋と燕を見る。
千秋は黙って目を伏せ、燕も何も言わない。
「どういうことだ…?千秋、燕…お前ら何か知ってるのか…?」
「……。」