バケバケ
「鏡に映した者の感情を具現化する…だったか?」
トキが笑った。
そして向かってくる龍に向かって手を広げた。
「ならばエレジー…」
トキの背後から無数の矢印が飛び出し、龍をかき消す。
「お前の怒りはこんなものだということだ。」
龍は完全に消し去られた。
「…まだ!」
エレジーがまた鏡をトキに向ける。
鏡から今度は水で出来た角の生えた馬が飛び出した。
「ユニコーン!…あいつを蹴り殺しなさい!」
馬はさっきの龍よりも早いスピードでトキ目掛けて突進した。
「今度は何の感情だ?」
トキは突進する馬の頭に手を伸ばす。
そして馬の勢いを片手で制し、その頭を撫でた。
「冷たいな。これは…哀しみか?」
馬は溶けるようにただの水と化し、トキの足元を流れた。
「…そんな……」
立ち尽くすエレジーの後ろからあの矢印が迫っていた。
「エレジー、危ない!」
エレジーが振り返る。
その目の先に矢印な尖端が来ていた。