バケバケ
燕が壁を出す。
矢印の大半は弾かれて消えたが、いくつかが千秋に当たり、小さな傷を作った。
「……千秋、……大丈夫か?」
「うん、平気。掠り傷。」
「それはどうだろう?」
またトキが笑う。
「私の能力がただ矢印を出すだけだとでも?」
「どういうことだ…。」
「私は何のバケバケだっただろうか。なぜ、私の能力は矢印の形を模しているのだろうか。」
「……」
なんだ…何が言いたい。
すごく嫌な予感がする。
「……千秋…。」
燕が千秋のそばに駆け寄る。
「……すまない…全て防ぎきれなかった。」
「いいよ、大丈夫。本当に掠り傷なんだから…」
「……そうか…」
「…うん。………っ!!」
突然、千秋が苦しみだした。
「…千秋?…おい、…本当に大丈夫なのか…?」
「…大丈夫……。うっ……」
千秋が頭を抱える。
「う…ぁ……。」
そして燕の方に倒れた。