バケバケ
トキ目掛けて薙刀を振り下ろす。
トキは舞うかのようにそれを交わした。
楽しんでいるかのようだった。
「洋子を返せ!」
「洋子?あぁ、返してやるよ。昭仁の蘇生が終わり、脱け殻になった洋子でいいならな。」
「!」
「…そろそろ時間だ。」
トキは片時も放すことなく手に持っていたバケバコをなでた。
「力が貯まったようだ。」
トキはバケバコの蓋を開ける。
「お前も来るといい、シイ。いいものを見せてやるよ。」
トキがバケバコを俺に向ける。
黒い渦が、俺を箱の中に引き込もうとする。
そして、俺はバケバコの中に引き込まれた。