バケバケ
こんな簡単に会えるなんて。
「洋子、早くここを出よう。」
「…私を助けに来たの?」
「そうだ。一緒に帰ろう。」
「……どうして?…私は助けなんかいらないのに!!」
「…え?」
洋子の様子が変だ。
「…だそうだ、シイ。残念だったな。」
洋子の後ろからトキが現れた。
トキは片手を洋子の肩に置いた。
「…可哀想な洋子。あの男に言ってやれ、もう自分に構うなと。」
「……シイ。今すぐ帰って。」
「……洋…子?」
「聞こえなかったの!?私は助けなんていらないって言ったの!!」
どうして…
トキが…トキが洋子をこうしたに違いない。
こいつは過去の映像をみせる能力があるんだ。
洋子の記憶操作くらい簡単にやってのけるだろう。
「トキ、洋子に何をした!」
「何も。」
「そんなはずない、洋子は…」
「本当に何もしていない。洋子は自分の意思で言っているんだ。」