バケバケ




俺は洋子を見た。


洋子は俺から顔を逸らし、何も言わず俯いた。


「これでわかっただろう?」


トキが俺の首に繋がった鎖を引っ張る。


「洋子はもう私のモノだ。」


首が締め付けられる。


「全てが終わったらその鎖も解いてやる。ここで待っていろ。」


トキが俺に背を向ける。


鎖さえ無ければ…


今すぐトキをぶん殴って、洋子と一緒に帰れるのに…


…そうだ!


粒子化!


粒子化すればこんな鎖すぐに抜け出せるじゃないか。


俺は粒子化を使った。


よし、これで…






…?


粒子化が…出来ない。


「無駄だ。このバケバコの中ではバケバケの能力は使えん。」


「!」


バケバケの能力が使えない?


どうしたら…


「さぁ、洋子。行こうか。」


「…うん。」


洋子がトキについて行く。





ダメだ…


行っちゃダメだ…


洋子の背中が遠くなる。


追いかけたいのに鎖が邪魔をする。


行くな…


行くな洋子!





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