バケバケ






体全体を黒い炎が覆った。


痛い…


引き裂かれるような痛みが走る。


もう少しもってくれ。


トキを倒すまで…






「崩れだしたな。」


トキが上を見上げる。


夜空が見えた。


バケバコが壊れ、現実の景色が見えていた。


「時間だ、洋子。」


トキが懐から黒い時計を取り出し、洋子に差し出す。


「洋子、この時計の秒針を見ろ。」


洋子がトキから時計を受け取る。


「ダメだ、洋子!受け取るな!」






洋子の手に時計が渡ってしまった。


止めなきゃ…


「もう遅い!…洋子が動く秒針を見たとき、昭仁は甦るのだ!!」


トキの声が響く。






俺はそれと同時に駆け出した。


踏み出したその足元から世界が崩れる。


バケバコも限界のようだ。





バケバコは完全に壊れ、俺たちは現実世界に戻っていた。






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