バケバケ




矢印を放った直後のトキの懐はがら空きだ。


これなら…






「!」


しかし、トキを目の前にしてシイは動きを止めた。


洋子がトキの前に飛び出したのだ。


「どけ、洋子!」


「やだ!!」






本当にどうなっているんだ。


多分トキに何か吹き込まれたのだろうが。


洋子を盾に使われたんじゃあシイに勝ち目がない。


どうする…






「……俺が…」


ボクの隣で中森を看ていた燕が立ち上がった。


「止めておけ。お前じゃ無理だ。」


燕とは古い付き合いだ。


燕が強いことは十分に知っている。


だがボクはそれ以上に分かっていた。


この二人は燕が介入したところで無意味であると。


ましてボクのような力の弱い神などなおさら。


昭仁が最初に生み出した、異常な力を誇るトキ。


同じく昭仁の生み出したバケバケであり、未知の力を秘めた黒い炎を体に宿したシイ。




< 427 / 469 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop