バケバケ
私は真っ直ぐトキを見据えた。
そして、時計に吸い込まれそうになった瞬間、トキの腕を掴んだ。
「!…洋子…貴様、放せ!!」
「嫌だ!!…死んでも放さない。」
そう、私の選んだ答えはこうだ。
トキを道連れにする。
「絶対に放さない…」
強い光が私たちを包む。
これから私はどうなるんだろう。
本当はね、生きていたかったよ。
もっといろんなことがしたかった。
瑞穂たちともっといっぱい遊びたかったし、大学生にもなりたかった。
一人暮らしもしてみたかったな。
友達みんなで旅行にも行きたかった。
それに、もっと恋がしたかったな。
初めてだったんだ。
誰かを好きになったのは。
苦しい気持ちも初めてだった。
光が眩しすぎて、もうシイの姿は見えない。