バケバケ
どうして…
辺りを見回す。
誰もいない。
「!」
ブランコの隣にある大きな楠の陰で、誰かがこちらを見ている。
小さい人影だ。
子供…?
あれ…?
前にもこんなことあった気がする。
そうだ…
小さい頃、私はよくこの公園で一人で遊んでいた。
その時、いつもあの木の陰から私を覗見ている人がいた。
同じ年くらいの男の子…
じゃあ今、私は自分の過去を見てるの?
これが走馬灯ってやつなのかな。
男の子はじっとこっちを見ていた。
だんだん過去の記憶が甦る。
この男の子は一緒に遊びたいのかな?
そう思っていた。
でも、当時激しい人見知りだった私は男の子に話し掛けることは出来なかった。
彼に気がつかないフリをして、また一人砂場遊びに熱中した。
本当は友達になりたかったのに。