バケバケ
「洋子の様子はどうだ?」
突然、灰音の後ろから女の子が顔を出した。
「ステ神…この通り無事だよ。」
「ステ神…?」
女の子は私を見た。
「ボクはステ神。シイに黒い炎の力を授けたのはこのボクだ。」
「!」
この小さな女の子が…シイが契約した相手…
「あの…シイはどうなったの?」
「……」
ステ神は灰音を見た。
「お前…洋子にまだ話してないのか?」
「……だって、…言えねーよ…」
「………そうか。…洋子、落ち着いてまずはあれを見てくれ。」
ステ神は自分の背後を指差した。
私たちから少し離れたところに、黒い大きな塊があった。
「あれは…?」
「あれがシイだ。」
ステ神は静かに言った。
「あの黒い塊の中にシイがいる。」
「……あの中に?」
私は立ち上がった。
「待て。中は見ない方がいい。」
ステ神が私を止めた。
「どうして?」
「あの中のシイは、もうお前の知っているシイではない。」