バケバケ
黒い炎に燃やされ、さらに小さくなっていく鉛筆。
「…シイ!」
止めなきゃ…
私は炎の中に手を突っ込み、鉛筆を掴んだ。
熱くない…
「無駄だ。それは人間には触れん。炎は消えない。」
「……。」
「元は罪を犯した人間の心を焼く炎なのだ。物理的には触れん。」
「…じゃあ…シイは?」
「このまま消えていくのを見ているしかない。」
私の手の中で燃えている。
このまま…
このままただシイが消えるのを見ることしか出来ないの?
シイは…私のことたくさん助けてくれたのに…
私はシイに何もしてあげられないの?
これが…私の選んだ未来の結末。
私の覚悟は何だったんだろう。
こんなことを望んだんじゃない。
私は…
「私が死ねばよかったのに…」
涙が炎の中に落ちて消えた。