バケバケ
傷口から真っ赤な血が流れる。
そして母は私に近づいた。
「洋子、手出しなさい。」
私が手を出すと、母はそこに自分の血を垂らした。
「!…な、何やってんのお母さん!!」
「バカね、まだわかんないの?」
母はため息をつく。
「私が元バケバケの人間なの。」
「………え…」
私のお母さんが元バケバケ…?
一瞬何を言われたか分からなかった。
知らなかった。
ずっとこの人の娘やってきたけど…今初めて知った。
「ほら、早くシイくんに…」
母が促す。
今思えば、母には最初からシイが見えていた。
それにシイの居候をあっさり受け入れた。
それは…シイがバケバケだと知ってたから?
それにあの鉛筆…母から貰ったものだ。
燕さんが来て、自分の血を私の手の中に垂らした。
私の手の中で、二つの血が混じる。