バケバケ

7.嫌いでいいから





7.嫌いでいいから






温かい。


心臓の音がする。


シイの?


それとも私の?








どっちでもいい。








シイは帰って来たんだから。









「よかった…洋子が生きてて…本当に…」


こんな時にも私の心配してる。


シイの腕が、さらに強く私を抱きしめた。


「ごめん……今だけだから…こうさせて?」


「………」


「俺のこと、嫌いでいいから。…今だけ…」


シイの言葉の一つ一つが…


その振動が…


私の耳に直に伝わっている。


体が熱い。









「嫌いじゃないよ。」


「え?」


「私がシイのこと嫌いになるわけないじゃん。」










今、言うんだ。


伝えるんだ。


一番言わなきゃいけないこと。














「好き。」










シイの顔を見てみた。


目が合うと、シイはあわてて目をそらした。


「私ね…シイが好き。」


「……」


言ったよ。


言えた。


私、ちゃんとシイに伝えられたよ。








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