バケバケ





シイ、出てっちゃうんだ。


そうだよね。


もうシイは人間なんだし、私も持ち主じゃないんだし。


私がそばにいる必要ないんだから。






「そんな顔するなよ。」


「…へ?」


すぐ隣にシイがいた。


「会えなくなるわけじゃないんだから。」


「別に…そういうわけじゃ…」


「ふーん。」


「……」


「……」







―ピリリリ…








その時、携帯が鳴った。


「あ、メールだ。」







受信ボックスを開く。


送り主は…








『坂本時雨(さかもとしぐれ)』







『久しぶりですね、洋子。

突然ですが僕は春からそちらの大学院を受験しようと思っています。


もうマンションを借りたので、三月末にはそちらに住む予定です。


四月には母さんや洋子に挨拶に行きます。


会えるのを楽しみにしてますよ。


―時雨―』






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