バケバケ
「さっきは驚きましたよ、洋子もシイも死んでしまうかと思いました。」
時雨は淡々と述べる。
「僕は10年間楽しみにしていたんですよ、この手で洋子を殺すのを…」
「……フン、悪趣味だな。」
「どうぞ、なんとでも。10年前はあの忌まわしい父親に邪魔されましたからね…」
10年前…
父親…
シイがボクと契約した日が思い出される。
こいつが…
洋子の父親を殺し、シイに黒い炎の契約を決意させた男…
「シイも成長したようですし、春になったら洋子のところに行くつもりです。」
「洋子を殺す気か…」
「殺すなんて物騒な。これはゲームです。シイが僕から洋子を守れるのか…それとも黙って洋子が死ぬのを見るしかないのか。」
「…殺すんじゃないか。」
「もしそうだと言ったら?」
「別に……興味ない。」
ボクは神だ。
人間やバケバケの争いに首を突っ込む気はない。
傍観者なのだ。
今も昔も。