バケバケ
歩いて10分くらいして奈古美市文化ホールに着いた。
大きな赤茶色のレンガの建物の前に小さな掲示板があり、催し物の案内がいくつも貼ってあった。
正面入り口は開いていた。
建物内に入ると中は薄暗く、人気がなかった。
きっと今日のイベントは午後からやるんだろう…。
フロア案内を確認。
会議室Aは2階にあるようだ。
階段をなるべく音を立てないように登る。
半分登ったくらいで音が聞こえた。
きれいな音だ。
これは…
ギター…?
誰かが弾いてるんだ。
音のする方に会議室Aはあった。
両開きの扉の片方が少しだけ開いている。
その隙間から中を覗く。
そこにはあの金髪の男がいた。
金髪の男が空に向かって指をしきりに動かしている。
「香澄…聞こえてるか?」
男は呟いた。
そうか…あいつは…