バケバケ
5.大嫌い
5.大嫌い
シイが能力を使う…?
私は少し後ろでシイの背中を見守っていた。
シイの能力っていったい何だろう。
シイが何のバケバケかも分かるかもしれない。
黄金は両手を大きく広げ、指を細かく動かしている。
きっと玄を張ってるんだ。
昨日見た黄金の玄は触れただけでシイを傷だらけにした。
シイは黄金を黙って見ている。
シイ…どうするつもり?
「昨日より鋭い玄を張った。ちょっとでも動いたらバラバラだ。」
「わかってるよ。」
シイの表情には余裕が見えていた。
黄金はそれを気に入らない様子で見ている。
沈黙が流れる。
ただ睨み合う二人。
次の瞬間―
キン!
二人が動き出したと同時に空を切り裂く嫌な音。
そして私が気付いた時には全て終わった後だった。
シイは黄金の目の前に立っていた。