バケバケ
改めて祖父に目をやる。
最期にこんないい笑顔の写真が飾られるんだ。祖父の人生はきっと幸せだっただろう。
「洋子、危ない!」
−ガシャーン!!
「あ……」
ぼーっとしてたらお茶を零してしまった。
「大丈夫?やけどしたんじゃない?水で冷やしておいで。片付けはやっておくから。」
祖母が心配そうに私の顔をのぞきこんだ。
「うん、ありがとう。」
台所ではまだ母が忙しそうに食器を洗っていた。
「洋子?どうしたの?」
「やけどした…かも。」
「見せて」
母は私の中指をみて「あーあ」と言うと流しの蛇口をひねった。
「早く冷やさないと跡になるよ。」
「ありがとう。」
「で、ついでに…」
母は足元に置いてあった寿司の空箱を私に差し出した。
「これ、玄関先に置いてきて。」
それだけ言うとまたまた洗い物に戻ってしまった。