リセット~彼女が死んで彼女が現れる~
『おじちゃん、淋しくない…?』
俺はジッと社長を見ていた。
『タケルくん…?』
社長は驚いた顔で俺を見ていた。
『早苗と聡は、仕事であまり日本にいないんです……。』
下を俯く窓香さんの言葉を聞いて、社長はもう一度俺を見る。
『そうだったのか…。
大丈夫だよ、タケルくん…。
おじちゃんは一人じゃないから淋しくないよ。』
『誰かいるの?』
俺は不思議に思い、首を捻る。
『おじちゃんにはな。いーっぱいの人が近くにいるんだよ。
朱鷺濱のおじちゃんとか、さっき出て行ったおばちゃんとかね。
ここに来る時、タケルくんも会っただろ?
ここに人がいっぱいいるの。』
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