リセット~彼女が死んで彼女が現れる~
「いつも悪いな…、健…。お前には大変な想いばかりさせて…。
今回のことだってそうだ…。
綾香ちゃんが亡くなったばかりなのに、傍にいてやることも出来ない…。」
父さんは悲しそうな顔で下を俯いて笑う。
「仕事なんだから仕方ないよ…。」
俺は父さんに笑いかける。
(なんで…、なんで俺は笑ってるんだ…?
綾香はもういない…。
どこを探してもいないのに…。)
俺は零れそうになる涙を、唇を噛みしめてこらえた。
(綾香…、戻ってきてくれ……。
俺の傍で俺の名前をまた呼んでくれ…っ!)
「健……。」
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