リセット~彼女が死んで彼女が現れる~
「どうして…?」
「それじゃあ健のためにはならないだよ…。
健には強い人間になってほしい…。
綾香ちゃんの死を乗り越える強さを持ってほしいんだ…。」
「聡くん…。」
母さんは心配そうに俺達のいる家を見た。
「さあ…、行こう……。」
悲しそうに泣く母さんの肩を抱いて、父さんは家を後にした。
(綾香……。)
そんな会話をしていたことを知らなかった俺は、玄関の扉にもたれて溢れる涙を止められず座り込んでいた。
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