リセット~彼女が死んで彼女が現れる~
「なんでもないから心配しなくても良いよ。」
「うん…。」
綾香は不思議そうに食事を始める。
「お前、俺のいないとこで綾香に近づくなよ?
綾香こんなだから絶対騙される……。」
俺は椅子に手をかけたまま脱力する。
綾香は人を疑うことを知らない。
ずっと一緒だったから、そのことを俺は知っている。
「タケルちゃん?」
綾香はキョトンとした顔で俺の顔を見る。
大きな瞳で真っ直ぐに俺を見る綾香。
その瞳の中の俺はどう映っているのか…。
(きっと綾香だったから、俺は…。)
そこまで考えて、俺は我に返る。
(ちょっと待て…っ、俺、今何を考えてた?
綾香は幼なじみだろ…っ!!)
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