リセット~彼女が死んで彼女が現れる~
「綾香…っ。」
俺はちぃを綾香に預ける。
「ちぃちゃんっ、ちぃちゃん!」
綾香は涙目でちぃを背中を撫でる。
俺は少し呼吸を調えてから上がる。
「お客さんっ!大丈夫ですか!?」
青ざめた監視員が俺達の方へ走ってくる。
「ふ…、お兄ちゃぁ~ん…っ。」
大きな瞳に涙をたくさん溜めて、ちぃは俺に抱きついてきた。
「よしよし、もう大丈夫だ。
悪かったな、目を離したばっかりに怖かっただろ?」
俺は小さく震えながら泣くちぃの頭を撫でる。
「もう大丈夫だ。」
< 38 / 159 >

この作品をシェア

pagetop