リセット~彼女が死んで彼女が現れる~
記憶の中の綾香は、俺の隣でいつも笑っていた。
あの笑顔が静止画のように止まる。
綾香がいた頃の俺の心は、いつも安定していた。
今の俺は、心に大きな穴が開いたようだった。
閉じた瞳から、涙が一滴頬に流れる。

その時…。
バタンッ!!
バタバタバタ。
大きな物音がして、誰かが駆け込んでくる物音がした。
「…?」
次第に物音が大きくなってくる。
「誰か来たのか?」
俺は立ち上がろうとした。
その時。
バンッ!!
「タケル!!」
「え!?父さん!?母さん!?」
部屋に飛び込んで来たのは、俺とちぃの両親だった。
< 82 / 159 >

この作品をシェア

pagetop