リセット~彼女が死んで彼女が現れる~
「…もう、泣けないよ。父さん…。」
俺は、父さんと母さんの傍を離れて綾香の枕元に座る。
「タケル?」
父さんは、俺の隣に座る。
「父さん、俺は決めたんだ…。綾香は、俺が泣くと不安になるからな…。
綾香の前では泣けないんだ…。
本当に綾香がいなくなるみたいで……。」
「タケル…。」
俺は、ただ綾香の顔を見つめるだけだった。
父さんは少し考えて、自分の荷物を取り出す。
「タケル、これを見ろ。」
父さんは分厚い一冊のアルバムを俺に手渡した。
「これは…?」
俺は父さんから受け取ったアルバムを開く。
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