小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
乾いた鈴の音を鳴らしてエッグに入ると、いきなりおかしな光景が飛び込んできた。
「マジでこの通り!許してください!」
そう言って床に土下座しているのは、この店のオーナー、修介。
そして、その前のテーブル席に足を組んで座り、まるで女王様みたいな目でそれを見下ろしているのが、アイドル顔のチェリー。
「修介、また何かやったの?」
苦笑いを浮かべるアイチに、チェリーは輝いた目を向ける。
「愛生も一緒に罰ゲーム、考えてよ」
そしてまた女王様みたいな目に戻ると、チラッと修介を見下ろす。
「こいつ、あたしの大切な初回限定版のCDに染み付けたんだから」
よりによって初回限定版なんて…。
前にも1度、通常版のCDを割られているチェリーは、相当お怒りのようだ。
「マジで弁償するから罰ゲームだけは勘弁してください」
修介は罰ゲームの撤回に必死だったけれど、チェリーもそんなに甘くはない。
「もちろん染み付けたCDの代金はきっちり支払ってもらうけど、そんなんじゃ全っ然気が済まない。絶対に罰ゲームはしてもらいます!」