小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
そのどれもに絶対にやりたくない究極のものと言うのが共通している。
「う~ん、迷っちゃう」
巻き髪から覗くハートのピアスを揺らして、チェリーはプレゼントでも選ぶかのように楽しそうだった。
と、テーブルの上に置いてあった彼女のケータイが一旦、それを中断させる。
「彼氏だ」
画面で相手を確認したチェリーは素早く、ケータイを耳にあてた。
「はいは~い?」
みんなとしゃべる時とはちょっと違う甘えた声。
その声はだんだんとテンションの高い明るい声に変わっていった。
「ホントに!?うん、すごい嬉しい」
彼女の言葉から、声から、雰囲気から、何かいいことがあったと簡単に読める。
電話を切った彼女は、1段と表情を輝かせてみんなを見た。
「彼氏と旅行、行くことになっちゃった」
本当に嬉しそうな彼女の表情。
その表情を浮かべたまま、チェリーは修介を見た。
「修介、しょうがないから許してあげるよ」
「マジで!?」
それにはあたしたちも思わずチェリーを見てしまう。