小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
だってあの男はアイチがちょっと反論したぐらいで、この街までやってくる。
そして、アイチを傷付けていく。
そんな男が再婚を許してもらえただけで、嫌がらせをやめるだろうか。
そう思った通り、その話にはまだ続きがあった。
「この先、3つの約束を守れば、許してやるって」
「3つの約束?」
それがこうだ。
1、あの男に逆らわないこと
2、あの街に2度と行かないこと
3、お母さんに2度と会わないこと
あの男は再婚を認めてもらうだけじゃまだ足りず、アイチに残酷な引き換えまで付けてきていた。
「ねぇ、アイチ。ホントにそれでいいの?」
良くなくても飲み込むしかないことはわかっていた。
飲み込まなければ、嫌がらせは終わらない。
それでも聞かずにはいられなかった。
あたしはアイチの目を見て続けた。
「アイチが戦うならあたしも一緒に戦うよ?」
アイチは優しく微笑んだ。
「自分のせいで周りを巻き込むことだけは絶対にしたくないんだ」
それから本当に辛そうな表情を浮かべて、続ける。
「それだけはホント耐えられない」