小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
何とかしたくて仕方なかった。
けれど、自分には何もできないこともよくわかっている。
アイチは笑った。
「周りを巻き込むぐらいなら、その3つの約束守る方が、比べ物にならないくらい楽だよ」
あの男はなんてひどいやり方をするんだろう。
そして、あたしはなんて無力なんだろう。
「ごめんね」
そう呟いたら、一気に涙が溢れてきた。
「え!?ちょっと何で!?泣くな、泣くな」
アイチは慌てて近くにあったティッシュを差し出してくる。
それを受け取りながら、あたしは言った。
「あたし、何にも力になれてない。アイチのこと救いたいのに何にもできてない。アイチがこんなに頑張ってるのに、あたしは本当に役立たずだよ。でも、どうしたらいいのかわからなくて。アイチを救う方法が見つからなくて」
溢れ出した思いは止まらなかった。
そんなあたしの頭に、アイチは優しく手を置くと、語りかけるように言った。
「ねぇ、真海子?あたしはちゃんと救ってもらってるよ?って言うか、どれだけ救いになってるか知らないでしょ?だから真海子はそんな風に思わないで?」