小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
「シーやんは毎回必ず1番に捕まってたよね」
単純なシーやんは、逃げる場所が毎回、はさみうちしやすい場所で、いつもすぐに捕まってしまう。
「懐かしいな」
ドロケーの思い出はつい昨日のことみたいに鮮明に記憶の中に残っていた。
あの時からもう10年近くが経つんだけれど、あたしたちはドロケーをやっていた頃と大して変わっていない、と言うことに気付いた。
確かに体は大きくなったし、いろんなことを覚えてきた。
けれど、根本的な部分はあのスポーツセンターでじゃんけんをしていた頃と大して変わらない。
勝ちゃんとのドロケーの話は、大きな安心感を持ってきた。
そうだ。
あたしたちは大して変わらない。
その場にはもう、気まずい空気なんて、少しも流れていなかった。