小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
目の前に立つ勝ちゃんは相当怒っているように見える。
「こんなところに呼び出して、今更、何言ってんの?まだおれがお前のこと好きでいるとでも思った?」
そこまで言ってから、彼は怒鳴った。
「ふざけんじゃねぇよ!」
ビクッとして目を覚ますと、そこは自分の部屋のベッドの上だった。
カーテンの外が、もうすっかり明るくなっている。
時計を見ようと体を起こすと、涙が溢れて頬を伝った。
まるで現実のようにリアルな夢だった。
今までは自分の中にある恐怖にばかり目が行っていて、大して重く受け止めていなかった。
そうだ。
いくら告白されたからと言って、勝ちゃんだってずっとあたしを好きでいてくれるわけじゃない。
いつか、今の夢みたいに怒鳴られる日も来るかもしれない。
気分を変えたくて、ベッドを降りた。
午前6時5分前。
どうせあと5分で起きなきゃいけない時間だ。
朝の支度をしながら、あたしは3ヵ月前のあの日のことを思い出していた。
その頃は今よりずっと普通に勝ちゃんと話すことができて、最初はたわいもない話をしていたんだと思う。