小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
「ごめん」
アイチの自転車で地元に戻る途中、彼女は一言そう言った。
「何で!?」
アイチが謝る理由なんてあたしには全然わからない。
「ここんとこ、何か変だなぁとは思ってたけど、これだったんだ」
この3日間、あたしは必死で隠していたつもりだったけれど、やっぱりアイチには何かあることがわかっていた。
「巻き込んでごめん」
アイチは最後にもう1度、そう謝ったけれど、あたしにだって謝らなくちゃいけないことはある。
「あたしこそごめん。多部ちゃんに相談されてながら、そのこと言えなくて」
そこまで言うと、今までの気持ちが溢れてきた。
「本当は何度も言おうと思ったんだ。あたしがアイチの立場だったら絶対言ってほしいって思うから。でも口止めされてて…」
「大丈夫だよ。真海子は何にも気にしないで大丈夫」
アイチの声が優しかった。
安心できる声。
本当に誤解されなくてよかった。
「でも、本当に告白させていいの?」
彼女はさっき「全然いい」なんて言ったけれど、ヤキモチを妬いたりはしないんだろうか。