小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
「あたしの今いる世界は最低なところだよ。職場では権力振りかざした大人に間違ったことさせられるし、友達も仲良しだった子はみんな変わっちゃった。どいつもこいつも自己中になることを『自分を持ってる』って勘違いして、誰かを犠牲にして幸せを手に入れてる。幸せになるためなら簡単に人を犠牲にして、反省すらできない。きっと思いやりなんて言ってると、自分が潰される世の中なんだと思う。自己中にならないときっと生きていけないんだよ」
花帆ちゃんにそう思わせるなんて、本当にその環境は最低だと思った。
確かにこの世は人のことなんか考えてたら、幸せになれないのかもしれない。
あたしはお母さんを見てきているから、それがものすごくよくわかる。
仮にお母さんがあたしのためを思って家に残っていたとしたら、今の幸せはなかったんだから。
けれど、そうじゃない人だってたくさんいる。
誰かを犠牲にすることなく、幸せに生きている人だって、きっとたくさんいるはずなんだ。
花帆ちゃんは言った。