小さい頃に習うこと、大きくなってわかること


「友達はね、あたしの話を聞いて、子どもみたいって笑った。すごいムカついたけど、でも、それも何かわかってきた気がした」


わかってきた気がした…?


「もし今、あたしがさ、魔法使いになりたいって言ったら、こいつおかしいって思うでしょ?子どもの時はみんな笑顔で聞いてくれたのに、大人になると、もう子どもみたいなこと言うなって怒られちゃう。それに、どんなに努力したって魔法を使えるようにはならないでしょ?もしかしたら今、あたしがやってることは、本気で魔法使いになりたいって努力してるのと同じことなのかなぁって」


「そんなことねぇよ!」


シーやんの声が大きくなった。


「花帆は絶対間違ってなんかねぇ。間違ってんのは全部周りの奴らだよ」


「同感」


カウンターの中から勝ちゃんがそう言うと、みんなも口々に同意した。


花帆ちゃんはそれをすべて聞いてから、本当に嬉しそうな笑顔を浮かべた。


「みんなを見てると本当に元気が出る。みんなには絶対このままでいてほしいな。ただでさえ、みんなみたいな子は少ないんだから絶対変わらないでいてよ?」


その声や表情、雰囲気のすべてから、花帆ちゃんのその願いが切実であることを感じた。










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