小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
ナシラのパンケーキを売り出す夏祭りがいよいよ始まる。
祭り自体は午後4時からだけれど、あたしたちにとっての始まりは午後2時の準備からだ。
通行止めにされた狭い道には、町内会の青年部の人たちによって、もうすでに縁日の屋台が作られていた。
青年部手作りの木のテーブルに、お店らしく看板を付けるための四角い枠がセットされただけの簡単な屋台。
本物の屋台みたいに豪華なのれんや屋根は付かないけれど、代わりに子どもたちがカラフルにデコレーションした紙の看板が貼られている。
あたしたちも小さい頃はよくあれを書いたなぁなんて、その頃のことが懐かしかった。
食べ物の屋台が並ぶその横には、輪投げやボーリングなんかのゲームコーナーが設けられている。
勝ちゃんや駆、修介はそれを担当するんだけれど、見ると、もう準備は終わったらしい。
ゴム製のやわらかいボールを持って、並んだ空き缶のピンを倒している。
小さな子どもたちが倒しやすいように考えているのかと思ったけれど、ピンが難しく並べられている辺り、自分たちが楽しんでいることには間違いない。
全く。
どこまで子どもなんだか。