小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
風由ちゃんが照れたようにそう言うと、王子様は後ろで固まっていた男の子たちに声をかけた。
「なぁ、パンケーキ、うまそうだぜ!」
それを聞くなり、男の子たちは集まってきて、焼いているパンケーキに歓声を上げた。
風由ちゃんを見ても挨拶をしない辺り、学校の友達ではないようだ。
男の子たちは次々に、マジックテープ式のお財布から100円を出すと、風由ちゃんに渡す。
「毎度ありー」
シーやんがそう言うと、風由ちゃんも「ありがとうございます」と微笑んだ。
焼いていたパンケーキを人数分用意して、男の子たちに渡す。
パンケーキを手にすると、男の子たちはすぐに屋台の前から離れて行った。
王子も「じゃあ、また学校でな」なんて言って、人込みの中に消える。
「よかったじゃん」
そう言って笑うアイチに、風由ちゃんは最高の笑みを返す。
人を好きになる気持ちってあんな風に素直でいいのかもしれない。
あたしこそ、そう言う気持ちが大切なんだと実感した。