小さい頃に習うこと、大きくなってわかること
冷静な顔をしていても、心の中は大パニックだ。
まさかこんなところで会ってしまうとは。
何を話そう。
この前のことに繋がらないような何かどうでもいい適当で時間を潰せるような…
「何、避けてんだよ」
「へっ!?」
突然、言われた図星の事実に思わず変な声が出る。
「避けるんじゃねぇよ。おれ、真海子と幼なじみやめるつもりないから」
勝ちゃんはあたしをまっすぐに見て言った。
その後で目を逸らして続ける。
「それとも、お前を女として見たおれとは、もう普通にできない?」
「そんなことない!」
思わず声が大きくなった。
今なら気持ちを伝えられそうな気がする。
バクバクする心臓を抑えて、あたしは言った。
「嬉しかったよ。勝ちゃんの気持ち」
彼の方は見られなかった。
顔が赤くなっているだろうことがこの熱さからわかる。
今のあたしにはその言葉が精一杯だった。
けれど伝えた。
ちゃんと伝えた。
伝えたけれど、どうするの、この後。
自分でそんな空気にしておきながら、どうしていいのかわからなくなる。
「やべっ」
勝ちゃんが小さくそう言うと、その後をすぐ駆の声が追いかけた。
「発見!」